Loading...
第十九話 さようなら、クワッチ 前編
生まれた時からずっと住み慣れてきたこの家とサヨナラしなければいけないかと思うと急に悲しくなって来ました。
夏休みの熱帯夜のことです。
はなちゃんは、ふとベットで寝苦しさで目が覚めました。
トイレに行くとリビングにまだあかりがついていました。
そっとのぞくとパパとママが真剣に話しをしていました。
どうやらパパのお仕事について話しているようです。
いつもと違う雰囲気だったのでおもわずそのまま声もかけずに寝てしまいました。
そして、その日は突然やってきました。
おにいちゃんとはなちゃんは、パパとママに呼ばれました。
パパから大切な話しがあるというのです。
「太郎、はな、実はパパのお仕事の関係で転勤しなければいけないんだ。」
「え、引っ越すの?」
おにいちゃんは立ち上がって言いました。
「引っ越し?」
はなちゃんはまだ意味がわかっていません。
「学校も転校しなければいけないの?」
おにいちゃんの質問でやっと意味がわかりました。
生まれた時からずっと住み慣れてきたこの家とサヨナラしなければいけないかと思うと急に悲しくなって来ました。
「今年の秋からアメリカにいかなければならないんだ。」
「アメリカ!」
二人は思わず声をそろえて叫びました。アメリカと言えばテレビの中でしかみたことがありません。
もちろん、二人は英語はわかりません。
「大丈夫。日本人のお友達もたくさんいるようだから...」
ママがフォローするように言いました。
おにいちゃんとはなちゃんは、新しい生活がどのようなものになるか不安でその日はなかなか眠れませんでした。